常楽寺~北向観音様が現れた場所?歴史が残る由緒あるお寺

北向観音の本坊にあたる常楽寺。
ここには多くの重要文化財が残されますが、中でも”北向観音様”が現れた貴重な場所が残る歴史あふれるお寺です。
その場所は今どうなっているのか?常楽寺の歴史や参観におすすめの場所などを紹介します。

■常楽寺とは

常楽寺のご本尊は「妙観察智弥陀如来(みょうかんざっちみだにょらい)」であり、北向観音の本坊です。
北向観音堂が建立された天長二年(825年)、三楽寺(長楽寺、安楽寺、常楽寺)の一つとして建立されました。

階段を上がると最初に見えるのが大きく立派な茅葺屋根の本堂です。
室内に入ると一枚一枚の色彩が美しい格天井に圧倒されます。

本堂裏の北向観音の霊像が出現した場所には重要文化財である「石造多宝塔」が保存。
石碑には弘長二年(1262年)と刻まれていることから、鎌倉時代に天台教学の拠点として大いに栄えた常楽寺の歴史を証する貴重な文化財となりました。

正応五年(1292年)には、信乃国(信濃国)塩田別所常楽寺で書写されたと記述のある「十不二門文心解)」が金沢文庫に遺されています。

■石造多宝塔(国の重要文化財)

北向観音様が出現された場所として、この石造多宝塔が建立されています。
建立当初は木造だったとされますが火災で焼失していしまい、現在は高さ2m85cmの安山岩で造られたこの石碑となりました。
北向観音様が出現された神聖な場所とあって、その一帯はより一層厳かな空気が流れているようにも感じます。

国の重要文化財となっている石造多宝塔は全国で3基しかなく、そのうち一基が常楽寺にあり国内でみても大変貴重となっています。

■石造多層塔(上田市指定文化財)

多宝堂の右側にある五重の多層塔。
かつては北向観音堂の西側付近から出土したものですが、40年あまり他県にあったものを持ち主に懇願され故郷へ帰ったことから”里帰りの多層塔”とも言われています。

■石造六地蔵

本堂の左側、多宝塔へ通じる山道のわきに、とても和やかな六つのお地蔵様が鎮座しているのが「石造六地蔵」です。
六地蔵とは、人間は地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道のいづれかを輪廻するという思想から生まれたもので、その六道のいずれかへ導くのが六地蔵といわれています。

■極楽浄土へ導く木「御舟の松」

庭には樹齢350年の御舟の松。幹が三方向に枝分かれして広がる姿はまるで舟のように見える事から名づけられました。
この松の木の舟で極楽浄土へ導いてくれるという大変ありがたい話もあります。
長さは18.2m・幅10.3m・高さ6.2m・幹周は12.5mもある松で、これが1本の木とは信じられないほど大きく迫力のある松になります。

■常楽寺の御朱印

常楽寺の御朱印は立派な本堂の中にあります。

しっかりと参拝を終えた後、”納経所”という小部屋の中にある御朱印を頂きに入室します。
御朱印は書置きされたものが立てかけられており、。近くには”書いてある朱印をお持ち帰りください(三百円)”とあります。

常楽寺の本尊は宝冠を頂いた”阿弥陀如来像”であるため、御朱印には「妙観察智弥陀如来」と書かれています。

■アクセス

● 名称 :常楽寺
● 所在地:〒386-1431  長野県上田市別所温泉2347
● アクセス:(1)上田菅平ICから車で30分
(2)上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩15分