別所温泉の歴史
別所温泉は長野県上田市塩田平にある温泉地で、1500年以上続く信州最古の名湯です。
別所温泉は別名「七久里(七苦離)の湯」とも言われています。
これはヤマトタケルが東夷征伐をした際、仙人の化身と見られる老人が「山中に七つの湯が湧き出て、七つの苦を助ける」と教え、その湯に入ると東夷征伐で負傷した傷が治ったという伝説からなんだとか。
そしてヤマトタケルは7つの湯を発見し「七久里(七苦離)の湯」と名づけたとされています。
平安時代に執筆された清少納言の枕草子にも「湯はななくりの湯 ありまの湯 たまつくりの湯」と三つの名湯が記され「七久里の湯」はさらに広く知られる事となりました。
別所温泉の由来となったのは、塩田平地域に北条氏の別院(別荘)があったからとも言われています。
12世紀頃、源平の争乱で多くの神社仏閣が焼失。塩田平の再建の為、源頼朝や北条氏は鎌倉の文化を塩田平に広め発展に大きく貢献したことから「信州の鎌倉」とも呼ばれています。
温泉街
別所温泉のある地域では、もともと養蚕業が盛んなことから温泉宿も数多く、町全体が多くの人々で賑わっていました。
温泉街の周辺にはそば屋や松茸小屋が立ち並び、今も昔と変わらぬ風景が残されています。
別所温泉は日帰り入浴施設である「大湯」「大師湯」「石湯」の3つの外湯があります。
温泉街は北向観音を囲むように広がっており、それぞれの湯までは歩いて散策できる距離にあります。
大湯は木曾義仲(源義仲)、大師湯は円仁(慈覚大師)、石湯は真田幸村などそれぞれゆかりのある温泉として知られており今も多くの伝説が残る温泉街です。
この3つの外湯のすぐ近くには「飲泉塔」が設けられており、温泉に入らずとも自由に飲むことができます。
温かい湯は胃酸過多に効果があり、冷たい湯は便秘などにも効果的ですが、あまり飲みすぎると負担がかかるのでゆっくり飲むのがポイントです。
他にも健康温泉施設「あいそめの湯」などがあり、地域の憩いの場となっています。
洗い場
別所温泉は温泉を使った洗い場(洗濯場)がある唯一の温泉街です。
その数は区内に14ヶ所も存在し、まだ洗濯機などがない時代に衣類などを洗う場所として多くの方が通っていました。
現在、洗い場を利用する方はそれほど多くはありませんが、今も利用される地域の方がいることから、歴史ある風習が続く貴重な場所として存在しています。
泉質・効能
温泉の温度は50℃近いアルカリ性の硫黄泉で、古い角質層をやわらかくし肌が滑らかになることから美人の湯として親しまれています。
かつては女性がお嫁に行く際、必ず別所の温泉に浸かり身を整えてからお嫁入りしたと言われる程、女性にとっては好ましい泉質とされました。
別所温泉は歴史に名を残す偉人達を湯の力で癒し、そして今も多くの人々の心と身体を支え続けています。
効能は、神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後快復期・疲労回復・健康増進など。