真田幸村の隠し湯として有名な「石湯」には、幸村にまつわる多くの伝説が残されます。
歴史ファンのみならず、多くの人々から愛される石湯はどうして真田幸村のゆかりの湯と呼ばれるようになったのでしょう。
石湯の歴史と真田幸村ゆかりの湯についてひも解いてみました。
■石湯とは
長野県上田市の塩田平に湧き出る信州最古と言われる別所温泉。
温泉街の一番奥に真田幸村ゆかりの湯である「石湯」があります。
石湯は、共同浴場の「大湯」「大師湯」「石湯」の3つの外湯の中の一つ。
入口の前には「真田幸村公隠しの湯」と書かれた石碑が存在します。これは大河小説「真田太平記」の作者・池波正太郎の筆で書かれ、昭和54年に建立されました。
石湯はその字と同様、自然の岩をそのまま生かした石造りの浴槽が特徴で、硫黄の香りがするサラリとした温泉は女性の方におすすめの湯です。
泉質は単純硫黄泉(源泉:別所温泉4号泉/掘削自噴)で、掛け流し・循環併用(夏季加水、冬季加温あり)。
湯温は少々熱めですが飲泉もできる他、料金も150円とリーズナブルで人気です。
タオルや石けん、シャンプー、ひげ剃り等は番台で販売しております。
石湯は北向観音堂のすぐそばにあることから、参拝後に立ち寄られる方や、外湯めぐりをされる観光客の方に人気の温泉です。
■真田幸村の隠し湯
「石湯」は「真田幸村の隠し湯」と呼ばれる上田市の中でも有名な観光スポットです。
作者である池波正太郎が執筆した大河小説「真田太平記」では、重要人物とのストーリーなどが石湯を舞台に描かれています。
物語の重要なキーマンである向井佐平次は、信州・高遠城の戦いで重傷を負うも壺谷又五郎とお江に助けられ、別所温泉へたどり着き真田幸村と出会うその場所が「石湯」です。
その後真田幸村の従者として従い、その生涯を幸村の為に尽くし最期は幸村と共に戦で戦死しました。
向井佐平次はかつて「わぬしとは共に死ぬるような気がする」と真田幸村から言われていたとされることから、向井佐平治に対する幸村の信頼が伺えます。
そしてもう一人、「石湯」で物語が動き出すのは、向井佐平次を助けた女忍者・お江との出会いです。虚空蔵山中で樋口角兵衛に襲われた幸村を救ったお江は、別所の湯で幸村の治療を行います。その晩別所温泉から湧き出る湯気の中、幸村とお江が結ばれるのも「石湯」でした。
真田幸村にとって節目を彩る重要な隠し湯だった「石湯」。
真田幸村の時代背景に想いを馳せながらゆっくり浸かってみてはいかがでしょうか。
■アクセス
● 名称:別所温泉 石湯
● 所在地:〒386-1431 長野県上田市別所温泉1641-1
● 営業時間:6:00~22:00(最終受付21:30)
● 定休日:第2・第4火曜日 ※定休日が祝日の場合は翌週火曜日
● 入浴料:150円
● アクセス:(1)上田菅平ICから車で30分
(2)上田電鉄別所線別所温泉駅下車徒歩5分