1.回向柱は触れることでご利益がある
善光寺ご開帳の主役ともいえる回向柱は、江戸時代に松代藩が幕府から命じられて建造したものです。これは木製の柱で、高さは10メートルもあります。普段は別の場所で安置されていますが、善光寺ご開帳期間には善行寺へ運搬されてきて、一般の参拝客が触れることができます。また運搬に際しては、松代町を練り歩き、その道中でも柱に手で触れることができます。境内に建立されてからも、一般客が自由に手で触れることで御利益を得られるため、参拝の際にはぜひトライしたいものです。
しかし、令和4年に開催される善光寺ご開帳では、新型コロナウィルスの感染拡大という大きな懸念材料があります。御利益があるからと言って回向柱に触れ、そこからウィルスに感染してしまうのは嫌なものです。どうすれば良いのでしょうか?
2.コロナ対策に力を入れて対策
善光寺ご開帳では、令和4年の開催に向けて、時間をかけて準備を進めてきました。300年以上伝わる回向柱もその一つで、参拝客が直接手で触れてもウィルス感染しないよう、回向柱を光触媒を使った抗菌剤でコーティングしました。
この抗菌剤は、コロナ禍においても参拝客が回向柱に触れて御利益を受けられるようにとの願いから、善行寺と信州大学工業部、として地域にあるビルメンテナンス企業が協力して開発しました。回向柱にダメージを与えることなく高いウィルス対策効果を得られる特殊な抗菌剤は、太陽光に当たることで空気中の酸素と化学反応を起こし、ウィルスの表面を分解する作用があります。これにより、善光寺ご開帳の期間中に不特定多数の参拝客が回向柱に触れても、クラスター発生のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
この抗菌剤は、回向柱が持つ木のぬくもりはそのまま残しているという魅力があります。抗菌剤を塗ったことによって柱に触れた感触が変わることはありませんし、有毒物質が参拝客の皮膚に塗布する心配もありません。その点は、安心です。
2.善光寺ご開帳期間中はリピート塗布で対応
善光寺ご開帳期間中には、毎日たくさんの参拝客が回向柱に触れます。善行寺では、できるだけ回向柱と参拝客を守るため、回向柱に触れる際には手指消毒してもらう方針としています。期間中には、境内の至る所に手指消毒液のステーションを設けるため、参拝客が手指消毒液を持参する必要はありません。
また、多くの参拝客が触れることによって、回向柱に塗布されている抗菌剤も少しずつ効果が低下することが心配です。その点に関しても善行寺では、善光寺ご開帳期間中には抗菌剤を回向柱の表面すべてにリピート塗布することで、対応する計画となっています。
7年に1度しか開催されない善光寺ご開帳は、令和3年にはコロナ禍ということで延期措置となってしまいました。まだコロナが収束していない令和4年の開催においては、時間をかけてコロナ対策をした上での善光寺ご開帳を楽しめます。善行寺では、混雑予想カレンダーなども紹介しており、参拝客ができるだけ混雑を避けて境内に足を運べる配慮もしています。