善光寺ご開帳で拝める一光三尊阿弥陀如来とは?

1.一光三尊阿弥陀如来は絶対秘仏

善光寺にある一光三尊阿弥陀如来は、この寺のご本尊です。日本においては最古の御仏で、善行寺如来が日本にやって来てから約100年後、そして長野に運ばれてきてから約10年後の頃に、自身のお告げによって秘仏となりました。現在でもこの阿弥陀如来は秘仏となっており、7年に1度開催される善光寺ご開帳の時でも、その姿を拝むことはできません。これは一般の参拝客だけではなく、善光寺の僧侶でも、直接姿を見ることは許されていません。

7年に1度の善光寺ご開帳の際には、一光三尊の阿弥陀如来そのものではなく、そっくりに復元された前立本尊を拝みます。

 

2.前立本尊も参拝できるのは7年に1度だけ

善光寺の前立本尊は、一光三尊阿弥陀如来の代理となることを目的として、鎌倉時代に建造されました。現在では、前立本尊は鎌倉時代の有形文化財となっていますが、一光三尊阿弥陀如来の代わりにいつ参拝しても姿を見られるわけではありません。

一光三尊阿弥陀如来は、いつどのタイミングで境内に足を運んでも、姿を見ることはできません。絶対秘仏だからです。代理となる前立本尊も、普段は別の場所に安置されており、7年に1度開催される善光寺ご開帳の時にだけ、姿を見せてくれます。善光寺ご開帳は約3ヶ月間開催されるため、前立て本尊を拝めるのは、7年に1度4月から6月までの3ヶ月間だけということになります。

 

3.前立本尊はどんな仏様?

前立て本尊は、一光三尊阿弥陀如来を細かい部分まで複製して建造されています。阿弥陀如来が1体で存在するわけではなく、観音菩薩と勢至菩薩を左右に控え、三尊で一つとなっています。この三尊が、舟の形をした光背の前に立っているのが、善光寺の前立本尊の大きな特徴です。

この本尊の中央にいる阿弥陀如来は、右手を開いて前にかざしており、衆生の汚れを取り除いてくれます。この右手の手のひらを開いて前にかざす姿勢は、施無畏印と呼ばれており、善光寺の本尊以外にも見ることができます。

この前立本尊の左手は、下げた状態で人差し指と中指だけを伸ばしています。これは刀剣印とよばれるもので、仏像の中ではとても珍しい印相という特徴があります。

 

4 .前立本尊の大きさ

善光寺の前立て本尊は、それほど大きなサイズではありません。中央の阿弥陀如来は高さ42.4cm程度で、向かって右側にいる観音菩薩は高さ30.5cm、向かって左手にいる勢至菩薩は30.2cmの高さです。このサイズは、絶対秘仏の一光三尊阿弥陀如来も同じだと考えられています。

善光寺ご開帳に参拝した際には、期間中には本堂に三尊像を拝むことができます。遠くから見えるサイズではないため、近くまで足を運んで拝みたいものです。

 

5.善行寺式の阿弥陀三尊像は全国各地にある

善光寺にある阿弥陀三尊像は、日本で最古です。しかしこの三尊像の前立て本尊が建造された鎌倉時代から室町時代においては、このタイプの阿弥陀三尊像は、とても人気があり、盛んに建造されていました。現在でも当時の三尊が複数残っており、多くは重要文化財に指定されています。

例えば、福島県のいわき市にある銅造の阿弥陀如来及び両脇侍像は、よく知られている三尊像です。