善光寺ご開帳でも見られない一光三尊阿弥陀如来はどうして秘仏?

1.僧侶も見ることができない絶対秘仏

善光寺に安置されている一光三尊阿弥陀如来像は、7年に1度開催される善光寺ご開帳でも、直接その姿を参拝客が拝めることはありません。善光寺ご開帳で拝めるのは、そっくりに複製された前立本尊で、本物の阿弥陀如来は一般の参拝客はもとより、僧侶ですら目にすることができない絶対秘仏となっています。

一光三尊阿弥陀如来像の代理となる前立本尊は、鎌倉時代に作られました。その時代からずっと阿弥陀如来像はお隠れとなっており、絶対秘仏の状態が現在でも続いています。

 

2.どうして阿弥陀如来像は秘仏になった?

そもそも、どうして一光三尊の阿弥陀如来像は鎌倉時代に絶対秘仏となってしまったのでしょうか?

このご本尊は、552年に大陸から日本へ仏教が伝来した際に、百濟から日本へ渡った阿弥陀如来です。日本へ渡ってから100年程度経過したころ、如来の宣託という自身にお告げが出たことをきっかけに、秘仏化しました。これはこの阿弥陀如来が当時は信州だった長野に渡ってから10年程度経過した時期で、秘仏化した理由には、いくつかの説があります。

例えば、本尊荘厳や本尊保存を目的とした秘仏化だという説もあれば、歴史的な事情があったとか、盗難から保護するためだったという説もあります。これらの説はどれも、当時の書物として残されているわけではないため、あくまでも想像の域を超えません。

しかしどのような理由であれ、絶対秘仏となったことにより、それから現在まで、誰も一光三尊阿弥陀如来を直接見たものはいません。阿弥陀如来を直接拝めない代わりに作られた前立本尊を代わりに拝むことができますが、前立本尊ですら7年に1度しか一般の参拝客の前に姿を見せないため、とても貴重な存在となっているのです。

 

3.前立本尊の姿を一目見るなら善光寺ご開帳へ

善光寺に足を運んでも、7年に1度開催される善光寺ご開帳の期間以外は、残念ながら前立本尊を拝むことはかないません。前立て本尊の姿を一目でも見たいなら、善光寺ご開帳の期間中に境内に足を運ばなければいけません。

善光寺ご開帳は、令和4年の4月初めから6月末までの3ヶ月間、開催されています。本来は令和4年ではなく令和3年の開催予定でしたが、コロナ禍ということで1年間遅延となりました。令和4年の開催では、多方向からコロナ対策をしっかり行った上での開催となります。境内には手指消毒液が複数設置されていたり、回向柱に触れたい人は手指消毒が義務付けられるなど、善行寺と参拝客が協力しながら善光寺ご開帳の行事を安全に成功に導きたいものです。

 

4.前立本尊御遷座式は4月2日

善光寺ご開帳期間中には、さまざまな行事が開催されます。その中でも前立本尊を一目見たい人におすすめなのは、4月2日に本堂で開催される前立本尊御遷座式です。白装束に身を固めた僧侶たちが前立本尊を御宝庫から本堂へと運ぶ儀式が、午後5時から厳かな雰囲気の中で行われます。神聖な気持ちになれること請け合いです。