善光寺ご開帳でも見られない一光三尊阿弥陀如来は金で作られている?

1.消滅説など都市伝説が多い仏像

善光寺に安置されている一光三尊阿弥陀如来像は、日本で最古の仏像というだけでなく、絶対秘仏です。鎌倉時代から現在に至るまで、一般の参拝客はもとより、僧侶ですらその姿を見ることが許されていません。善光寺ご開帳の際にも、拝めるのは阿弥陀如来にそっくりに作られた前立本尊です。

そのためでしょうか。この一光三尊阿弥陀如来像に関しては、さまざまな説が飛び交っており、なぞが多い仏様としてもよく知られています。本当は破損したのでそれを隠すために秘仏化したとか、本当は存在していないのではないかといった都市伝説なども、数多くあります。

その中でも特に信憑性が高いのは、消滅説です。鎌倉時代からずっと秘仏として阿弥陀如来が安置されている善光寺は、過去に何と11回も火事にあっています。寺が火事で焼失したのに、阿弥陀如来だけが残っているはずがないというまことしやかな噂が、江戸時代の元禄時代ごろからささやかれるようになりました。

こうした都市伝説が多い理由は、やはりこの阿弥陀如来像が完全秘仏となっており、過去から現在に至るまで、僧侶ですら直接見ることがない希少価値の高い仏様だからだと言えるでしょう。

 

2.どのように管理されているのか?

善光寺の一光三尊阿弥陀如来は、幅と奥行きが約90cm程度、そして高さが160cm程度の厨子の中に入って安置されています。この厨子は、江戸時代の5代将軍だった徳川綱吉の歳暮である桂昌院から1789年に寄贈されたものです。

この厨子には、中が見えないようにさらしでしっかりまかれて固定されています。そして、万が一の火事などの際には、担ぎ出せるようにと背負うための紐が取り付けられているのが特徴です。

この厨子は、善行寺に安置されていますが、通常はこの厨子も見ることはできません。厨子の前には守り神を意味する竜の絵が描かれた御戸張が設置されており、基本的には誰も近づくことはできません。

 

3.阿弥陀如来は金で作られている説

この厨子は、普段は誰も近づくことができません。しかし、年に1度だけ、厨子を動かすことがあります。それは、善行寺で毎年12月26日に行われるおすす払いという行事で、一言で言えば御寺の大掃除をします。

おすす払いの際には、約5人の奉公が厨子のお掃除を行います。その際に、厨子をずらして周囲のおすす払いを行うのですが、5人の奉公でも持ち上げることが不可能なほど、厨子はズッシリ重くなっています。背負い紐が取り付けられているにも関わらず、男性5人でも持ち上げられないほどの重量があるため、もしかしたら阿弥陀如来は金で作られた仏像なのではないかという説もあります。金の中でも特に重量のある闇浮壇金が素材になっているだろうと考える専門家もたくさんいます。

ちなみに善光寺の奉公達は、年に一度、火事などに備えて避難訓練を行います。その際には、厨子を背負って担ぎ出す訓練も行うものの、男性5人がかりでもほとんど厨子を動かすことはできません。

この厨子は、善光寺ご開帳でも一般の参拝客の目に触れることはありません。一光三尊阿弥陀如来とそっくりの前立本尊を見ながら、ミステリアスな都市伝説を持つ阿弥陀如来に思いをはせてはいかがでしょうか。