北向観音堂は、長野県上田市に位置し平安時代初期に比叡山延暦寺座主の慈大師円仁によって開創された霊場です。北向観音様はお寺や御堂としては珍しく北向に健立され、この世でのご利益をいただける現世利益を願うことで広く知られています。一方の善光寺は南向きに健立され、あの世での未来往生、極楽浄土を願います。善光寺の方が北に位置しているため、北向観音と善光寺の一光三尊阿弥陀如来様は対面している形となります。
北向観音と善光寺の片方だけをお参りする片参りは、願い事が叶わないと伝えられ昔の人たちからは忌み嫌われていました。そのため両方をお参りする両参りが正しいお参りの方法だとされています。この両参りについては意外と知られておらず、善光寺だけにお参りする人も多いようです。しかしながら両参りが推奨されているとはいえ、片参りだけでも特に問題がないとも言われていますので、あまり気にせず、時間に余裕があるようなら両参りをすれば良いでしょう。
信州最古の温泉 別所温泉
信州最古の温泉別所温泉は上田電鉄別所線別所温泉駅から歩いて行けます。この駅は北向観音の最寄駅でもあります。北向観音にお参りの際に温泉を楽しむというのも良いでしょう。駅周辺には温泉と季節のお料理が楽しめる旅館が立ち並び、どこに宿泊しようかと目移りするほどです。予算やお料理、そして予約状況などを考慮し、早めに予約されることをおすすめします。ただただ温泉に浸かり身体を休めるということを目的に、贅沢な時間を過ごしてください。
別所温泉のお湯は弱アルカリ性で、高い美肌効果があると言われています。角質を柔らかくしたり、毛穴の汚れを取ってくれたりとお肌が綺麗になる、嬉しい効果がたくさんあります。また神経痛や筋肉痛、慢性消化器系の病、そして冷え性にも効果があるとされていますので、是非ともじっくりと温泉に浸かり健康促進を行いたいものです。
別所温泉には石湯、大師湯、大湯と3つの外湯があり、入浴料もそれぞれ150円と安く、気軽に入浴できます。北向観音の近くにある石湯は戦国大名真田幸村公の隠し湯としても有名です。岩の間から湧き出てくる温泉に浸かりながら戦国時代に想いを馳せてみるのも趣があることでしょう。近くの旅館に宿泊し、浴衣で外湯巡りをするのが1番のおすすめ方法です。ぜひ信州最古の湯を心ゆくまで楽しんでみてください。
北向観音と善光寺の両参りが良いとはされていますが、絶対にこうでないといけないということではなく、時間と気持ちに余裕を持って気持ちよくお参りできるのが一番です。スケジュールの都合上にどちらかにしかお参りできない場合にでも、また次の機会にもう一方にお参りすればいいのです。特に善光寺は一生に一度お参りするだけで極楽浄土が叶えられると言われています。あまりご利益をいただくことにばかり執着せず、せっかく信州までお参りに行くのなら、美しい信州の景色、そして温泉も楽しんでみてくださいね。