北向観音と善光寺の境内には、さまざまな歴史ある建立物があります。
1.北向観音と善光寺の建立物
・北向観音
常楽寺は、長楽寺・安楽寺・常楽寺から成る三楽寺の一つであり、建立当時の色彩が残っている格天井がたいへん美しい寺院です。ご本尊は「妙観察智弥陀如来」という、宝冠をいただく珍しい阿弥陀如来です。阿弥陀如来は、「南無阿弥陀仏」と唱える、あるいは唱えようとしているすべての人々を極楽浄土へと導いてくださる、たいへん尊い仏様です。境内には、国の重要文化財に指定されている石造多宝塔や、上田市の指定文化財である石造多層塔などがあり、樹齢350年と言われる御船の松は、離れたところから見ると、極楽浄土へと連れて行ってくれる宝船のように見えます。
その他にも、北向観音の境内には、札所や鐘楼と梵鐘、護摩堂など、さまざまな建立物があります。
その中の、愛染カツラの木は、市の文化財に指定され樹齢は1200年といわれています。縁結びの木として広く知られており、昭和14年6月5日には、県の天然記念物にも指定されました。この愛染カツラの木と愛染堂に関連させて『愛染かつら』という小説が書かれたことも、たいへん有名です。その愛染堂も同じ境内にあり、良縁成就や結婚成就の仏様として有名な愛染明王がご本尊です。
また、別所へ訪れた際に数日で162首もの短歌を詠んだとされる、詩人北原白秋の歌碑もあります。昭和37年11月に、この歌碑の前で北原白秋の法要が執り行われた際には、この歌碑の除幕式も行われました。
2.善光寺
善光寺には本堂以外にも、重要文化財に指定された施設が多くあります。
山門は寛延3年に建立されたもので、国の重要文化財に指定されています。楼上には約三畳分の大きさがある「善光寺」と書かれた額があり、三文字の中に5羽の鳩の姿が隠されているために、「鳩字の額」と呼ばれています。また、「善」の字は牛の顔に見えるとも言われています。
同じく重要文化財である経蔵には、重さが約5トンにもなる巨大な八角の輪蔵があり、鉄眼黄檗版『一切経』全巻が収められています。その数は6771巻にもなり、時計回りに1周回すと、『一切経』をすべて読んだのと同じご利益が得られるとされています。
また、登録有形文化財である仁王門には、仁王像阿形、吽形が左右にそれぞれ安置されており、並びが一般とは逆であることも特徴の1つです。そしてその裏側には、三宝荒神がこれ以上の火災の害を押さえるために、三面大黒天が五穀豊穣や商売繁盛、家内安全を願って安置されています。
その他には、毎日午前10時から1時間おきに午後4時まで鳴らされ、一般の人もたたくことができるという鐘楼や、雲上殿納骨堂や善光寺の天台宗を統べる大観進、浄土宗を統べる大本願、延命地蔵とも呼ばれるぬれ仏、親鸞聖人が手彫りしたと伝わる爪彫如来像、健足を願う場となっている仏足跡など、多くの施設があります。