北向観音と善光寺の関係

北向観音と善光寺は、その位置関係や建てられ方によって、両方を参拝するツアーが組まれるなどセットで扱われることが多くあります。

1.北向観音と善光寺の場所

北向観音は長野県の上田市、別所温泉街にあります。別所温泉は信州最古の温泉と言われます。肌美人になるという弱アルカリ性の泉質で、3ヶ所の外湯(共同浴場)があり、足湯や飲泉できる場所もあります。その他にも、北向観音をはじめとした神社仏閣、常楽寺美術館、遊歩道にある展望台、愛染カツラの木や夫婦杉、平維茂将軍塚など、温泉以外の見どころも多く、散策や食事も楽しむことのできるスポットです。

善光寺も同じ長野県の長野市にあり、「一生に一度は善光寺参り」という言葉が江戸時代末期に生まれたほど、多くの参拝者が訪れる大寺院です。「一生に一度お参りするだけで、極楽往生を遂げられる」と言われています。本堂に加えて、主要施設である山門、経蔵、日本忠霊殿、善光寺史料館、仁王門、鐘楼など、さまざまな施設があり、またそれぞれが御堂を持つという39ある宿坊では、精進料理をはじめとする創意工夫を重ねた宿坊料理を楽しむことができます。お朝事への参拝や境内の案内などもしてもらえます。

2.北向観音と善光寺の位置関係

北向観音と善光寺の位置関係ですが、善光寺が長野県の北側、北向観音が南側に位置しています。2つの寺院の間の距離は約49キロで、道の混み具合にもよりますが、車では1時間強、電車では2時間強で北向観音から善光寺へ(または善光寺から北向観音へ)行くことができます。どこかで宿泊してゆっくりと観光もしながら参拝するのも1つの方法ですが、1日で両方を参拝することも十分可能です。

参拝の順番については特に決まりはないので、参拝以外にどのような目的があるかによって、どちらを先に行くかを選ぶと良いでしょう。例えば、別所温泉街でじっくりと観光をしたいのであれば、先に善光寺を参拝してから北向観音へという順番が良いですし、善光寺の周辺にある様々な施設もゆっくりと巡りたいのであれば、先に北向観音を参拝してから善光寺へという順番にするのがおすすめです。

3.北向観音が北を向いているのはなぜ?

寺院は東や南を向いて建てられることが多い中、北向観音はあまり他に類を見ない北向きに建てられています。そのため、北向観音は本坊である南向きに建てられた常楽寺の背中を見ている形になり、その先にある善光寺と向き合う形になっています。

北向観音が北向きに建てられた理由は、寺伝によると、本尊である観音菩薩による「北斗七星が世界の指針となっているように、私もまた、常にこの世に生きるすべてのものの拠りどころとなって、苦しみや困難から救おう」というお告げであったとされています。善光寺に向けて建てられたのかとどうかは定かではありませんが、このような位置関係であるため、「向かい合っている」と言われるようになりました。