御柱祭は大きく分けると、「山出し」「里曳き」「宝殿遷座祭」という3つの神事で構成されています。
1.御柱祭および宝殿遷座祭で行われること
・御柱祭の内容
1200年以上の長い歴史がある御柱祭は、「山出し」から始まります。この山出しでは、上社下社それぞれに事前に見立てを行った、直径約1メートル、長さ約17メートル、重さ約10トンになる、巨大な樹齢約200年の樅の木を8本ずつ切り出し、曳綱を使って人力で引っ張っていくのです。その人数は、1本につき1000人から3000人だと言われています。
その途中には、50メートルあまりもある崖の上から御柱を曳き落とす「木落し」や、上社では宮川の冷たい水の中を曳き渡す「川越し」などがあり、その迫力はたいへん見応えがあります。
続いて、「里曳き」が行われます。この里曳きは、沿道の見物する人々に見守られる中、氏子の手によって御柱を上社と下社へ曳き進めていくものです。その間に、上社では花笠踊りや龍神の舞などの伝統芸能などを、下社では騎馬行列などを見ることができ、たいへん華やかな雰囲気で行われます。
各神社の四隅に御柱が曳きつけられると、先端を三角錐の形に切り落とす「冠落し」が行われ、その後にワイヤーやロープを用いて、人の力によって御柱を上社前宮と本宮、上社春宮と秋宮に4本ずつ建てます。これを「建御柱」と言います。
この御柱祭で御柱を曳く距離は、上社で約20キロ、下社で約12キロにも及びます。諏訪大社の御柱祭を終えた後には、諏訪地方の神社でも御柱祭が行われます。これを小宮祭と言います。
・宝殿遷座祭の内容
御柱祭の正式名称が「式年造営御柱大祭」であるように、同年に宝殿の造り変えも行われます。それを「宝殿遷座祭」と言い、御柱祭のフィナーレとも言える、とても重要な神事です。
上社では、里曳きから1ヶ月あまり後に、宝殿遷座祭が行われます。神宝を旧宝殿である西宝殿から、修復された新宝殿である東宝殿へ(もしくはその逆)へ遷します。
下社では里曳きの前日に行われるのですが、下社ではそれとは別に、春宮から秋宮、秋宮から春宮へと半年ごとに遷座しています。2月に春宮西宝殿から秋宮西宝殿へ遷座して、5月に秋宮西宝殿から秋宮東宝殿へ遷座します。そして、8月にまた秋宮東宝殿から春宮東宝殿へ遷座するという形になるため、宝殿遷座祭の年はたいへん忙しない1年であると言えるでしょう。
2.開催期間
諏訪大社の御柱祭は7年ごとの寅年と申年に行われます。次回、御柱祭が行われるのは令和4年になります。
山出しは、上社が4月2日から4日、下社が4月8日から10日という日程で行われることになっています。また里曳きは、上社が5月3日から5日、下社が5月14日から16日という日程になります。宝殿遷座祭が行われるのは、上社が6月15日、下社が5月13日です。
神事なので、雨や雪で中止になるようなことは基本的にありません。過去には、雪が降る中でも行われたことがあります。