御柱祭の準備はどんな風に進められる?

地元の人が楽しみにしている御柱祭

諏訪大社の御柱祭は、ほとんどの信州の人が楽しみにしているのではと言われるほどのお祭りで、7年(数え年)に1度、寅と申の年に行われます。この時に宝殿を改築して、社殿の四隅の柱を建て替えます。

御柱祭は4月に入ると始まりますが、きちんと始められるように、早くから準備を行っています。地元の人たちは、御柱祭にかけていると言っても良いでしょう。諏訪地方では「御柱定期積金」という金融商品があるくらいです。

御柱祭に使う柱とは

御柱祭に使われる「御柱」はモミの木で、巨木と言われるほどの大きなものになります。下社の御柱祭で使われる御柱は、祭が開催される前年の5月には伐採し、準備されています。上社の御柱祭で使うものは本番の1ヶ月ほど前に伐採されますが、伐採の時期はその時々によって変わる可能性があります。

御柱祭で使う柱として、一番太い部分の周囲が3メートル超え、重さは10トンにもなる木を8本切り出します。伐採された木は綱置場(御柱を置く場所)に運ばれて、ここで本番まで出番を待つことになります。

その他に準備されるもの

御柱の他に準備されるものは、御柱を曳くための綱です。これは「綱打ち」と言って、御柱を曳くためだけに作られます。

そして、「めどてこ」です。「めどてこ」とは、上社の御柱の前後にV字型に付けられた柱のことです。このめどてこに氏子たちが乗って御柱を曳く姿は、大変勇壮です。

その後は、「木造り」と言われる作業、めどてこを付けるための穴をあけたり、そして御柱を曳くための綱を付けたり(「わなぐり」と言います)と、連日多くの準備が行われます。

さらに、諏訪地方ではお祓いなどの時に使われる「御幣(おんべ)」も作ります。御柱祭では「木遣り」をきっかけに御柱が曳かれていくのですが、この時に必要なのが御幣です。諏訪地方で作られる御幣は、木を鉋でごく薄く削り、それを50枚(小サイズ)から300枚(大サイズ)を重ねて作ります。鉋で木を薄く薄く削るのは、かなり腕の良い職人でないとできません。職人が削ったものを2~3時間かけて御幣にしていきます。時間が経っても変色しにくいとされるヒノキやトウヒ材を使います。通常、お祓いなどで見かける御幣は紙が多いのですが、御柱祭では木の御幣を使います。

多くの人が御柱祭に関わる

御柱祭が開催されるまでに長い時間をかけて準備が行われ、そのために多くの人たちが関わっています。長い歴史のあるお祭りをこれからも継続させたい、守っていきたいと考えている人が多いのです。毎年行われるものではないので、行われる時には準備は大変ですが、祭の開催を楽しみにしながら協力している人がほとんどです。準備から関わった人たちは、曳かれていく大きな御柱や綱、めどてこなどを見ると、感慨深いことは間違いありません。勇壮な光景ばかりが注目されますが、準備をしていた人たちに対する労いの気持ちも持ちたいものです。