御柱祭の目的
諏訪大社で7年ごとに行われる御柱祭は、正式には「式年造営御柱大祭」と言います。諏訪の氏子の奉仕によって行われる、諏訪大社で最大の神事になります。昔は式年の時にすべての建物を新築していました。いつ頃からかはわかりませんが、今は式年の時に宝殿だけを新築し、山からもみの木を切り出して諏訪大社まで運び、御柱を新しくしています。この御柱の新調が御柱祭の目的となります。
「山出し」と「木落し」、そして「川越し」
御柱を山で切り出し、それを運び出すのを「山出し」と言います。氏子たちが集まって切り出した巨木を運び出します。山出しは3日間行われ、上社では狭い路地を曲がる「穴山の大曲」や、傾斜度27度のところを氏子たちが乗った御柱が滑り落ちる「木落し」があります。下社では「萩倉の大曲」というカーブがあり、そこをギリギリ御柱が通過するのが見られます。「木落し」では傾斜度が急な斜面を氏子たちを乗せたまま御柱が滑り落ちます。危険が伴うので観客は近づいて見ることができませんが、参加者のかけ声や歓声、御柱が滑る音などは迫力満点だと言われています。
山出しされた御柱は、川の水で洗って清められます。御柱を曳いたまま川に入り、川を渡ります。この時期はまだ水温が低いのですが、曳いている人全員が川に入ります。ずぶ濡れになりながらも御柱を曳く光景は、圧巻です。
「里曳き」は街中を曳行
御柱は諏訪大社まで曳行されますので、諏訪大社付近の街中をゆっくりと移動していきます。こちらも上社、下社ともに、3日間かけて行われます。騎馬行列や花笠踊りなどがあり、お祭りらしい雰囲気です。里曳きは多くの見物客もいて、大変賑やかです。
下社の里曳きでは、100竿を超える長持行列が見所です。長持には、たくさんの花が飾ってあるもの、おかめのお面が付けられたものなど、いろんなバリエーションがあって、見る方も楽しめます。
3日目は、里曳きのクライマックスである「建御柱」があります。これは、木遣りやラッパの演奏の中、御柱を1時間かけて垂直に建てます。重機などは一切使わず、人力だけで行われます。人力だけで大木を建てる様子はなかなか見られるものではありません。バランスを崩して巨木が倒れたりしたら大変ですから、緊張感が伝わってくるでしょう。
最後は厳かに
御柱祭の締めくくりとなるのが「宝殿遷座祭」です。これは、改築した宝殿に諏訪大社の御霊代を移す神事で、氏子が主導だった山出しや里曳きなどとは雰囲気がガラッと変わり、諏訪大社が主導となって行われる厳かな式典になります。この式典は上社は6月に、下社は5月に行われる予定です。
ここまでが一応、御柱祭となっているのですが、観光客などが一緒に盛り上がれるのは木落し、川越し、里曳きとなるでしょう。御柱祭を楽しむために、指定されたエリア以外に立ち入らないようにしましょう。良い写真を撮りたいと立ち入り禁止区域に入ることは危険です。マナーを守って御柱祭を楽しみましょう。